再度vanacoralさん経由で、漫画家羽海野チカさんのブログ。
全文引用はしたくないのだが、この羽海野さんの文章には省略できるところがない。申し訳ないがまるごと引用させていただく。
1/私は、弁が立つ方では無く、なんといったらいいのか、 上手く言葉になかなか出来なかったのと、 私がもし、変な事を言ってしまって、かえって、漫画を大事にしている方達、みんなの足をひぱってしまったらどうしようとか…そんなことで色々悩んで中々書き出せないでいたのですが…
2/「東京都青少年健全育成条例改正案」には、私は反対です。
3/6月に一度この案が出た時、急にひっそりと出て、そして、決める会議までがとても短くて、
私はとても慌てました。日本でこんなにも多くの人に愛され、必要とされている「漫画」という文化の「未来」がかかっている審議のはずなのに、どうしてこんなに不意打ちのように
短期間で
4/話し合いの場ももってもらえず、当事者のいない所で、なぜものすごい急に、決められようとしているのかと。
そして、皆の反対で、一回消えたはずのものが、またしても、同じように、ひっそりと、そして、短期間のうちにいきなり、審議にかけられようとされているのでしょうか。
5/どうして、こんなに慌てて決めようとされているのでしょうか。 漫画を好きなひとは日本にも、世界にも 沢山 沢山 沢山 いて、なのに、なぜ、こんな、うやむやのうちに、規制して、見えないように、されようとしているのかが、解りません。 なにより、「いつも不意打ち」で恐いのです。
6/そのうち、私たちが、気付かず、間に合わず、意見を言う間も無く、「何かが決まる日」が来そうな気がして、それがとても恐いです。そして、それは本当に恐ろしい事で、あっては決してならない事だと思います。
7/今、打っていても、手が震えます。何か変な事を言ったら、何か、漫画にとって悪い方に動いてしまったら、と思って心配だからだと思うのです。が、これくらいの事で、心配になって手が震えるくらいなら、この先「これ、描いて大丈夫かなぁ?」と心配しながら漫画を描かねばならない日が来るとしたら?
8/そう想像せずにはいられません。きっと皆が萎縮して、漫画の世界が小さくなっていってしまうと思うのです。漫画は世界に誇れる、日本の大切な文化だと、私は固く信じています。こんなに大事なものを、小さくしてしまうかもしれないものには、私は、反対です。
9/もし、もしも、この会議に出て漫画の未来を決める方たちの、ご家族、友人、知人の方の中で、ここを見て下さっていて、漫画を好きでいて下さっている方がいらっしゃいましたら、どうか、どうか「漫画は、沢山の人に愛されている大切な文化なので、慎重に扱って欲しい。」と、お伝え下さい。
長い文章を読んで下さってありがとうございます
これが今の気持ちです
これからも精一杯思いっきり 自由に 漫画が描けますように…
羽海野チカ
実は羽海野さんのマンガは『3月のライオン』しか読んだことがないのだが、この作品はすばらしい。将棋にしか「生きていていい理由」を見出せない高校生プロ棋士桐山零の孤独。そんな彼を包み込む川本家の食卓の暖かさ…。
ちなみに、個人的には零の「押しかけ親友」二海堂が好きだったりする。(笑)
で、真っ当な表現者にこんな悲痛な思いをさせる表現規制を強行しようとしているのが、元「小説家」の暴言小皇帝や「ノンフィクション作家」の腰巾着副知事なわけだ。似非文化人なんかが権力を握ると、自分の好き嫌いに合わせて文化を支配しようとする、要するに絞め殺しにかかる、という典型的な事例だ。
ちなみに、暴言小皇帝の副知事などしているだけあって、猪瀬直樹の放言も中々のもの。
マンガの関係が好きな人のなかには人生が行き止まりと感じている人が多いという印象を受けます。生きている女を口説きなさない。瞬間、瞬間、言うことが予想外に変わるから、そのほうがおもしろくて未知で愛おしいよ。
なんて言った舌の根も乾かないうちに
僕はマンガが好きだから『ラストニュース』(弘兼憲史)の原作を書いた。12月8日があって300万人の日本人が死んだが、マンガの世界がそういうリアルとどこかでクロスしているときはよかったな、と思っています。このごろは歴史が蒸発していませんか。
と来るんだから笑える。
なるほどね。「人生が行き止まりと感じている」のは猪瀬本人だったわけだ。
- 作者:羽海野 チカ
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