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危機につけ込む火事場泥棒たち

人々の関心がコロナウイルス問題に占拠されつつあるのをいいことに、腹黒い連中が悪質な火事場泥棒に勤しんでいる。

■ 検察人事への介入を合法化

1月31日、安倍内閣は手下の黒川弘務東京高検検事長を検事総長にするべく、その定年を延長する違法無効な閣議決定を行った。そして今度は、それを後付けで合法化するために国家公務員法と検察庁法を「改正」しようとしている。

この黒川は、森友問題の捜査を潰した張本人である。

いや、森友だけではない。およそ近年における検察の悪事の大半に関与してきたのがこの男だ。まともな法治国家ならとっくに懲戒免職となり逮捕起訴されていなければならない法匪である。

安倍はこんな男を検事総長にしようとしているだけでなく、検事総長、最高検次長から検事正、上席検事までに至る各種役職の定年延長を、内閣(下位の役職については法相)が認めた場合にのみ可能とすることで、検察人事への露骨な介入を可能にしようとしている。[1]

どれだけ不正がバレても決して手が後ろに回らない盤石の体制を築こうというわけだ。これでは検察は単なる安倍の私兵と化してしまう。

■ よりによっていまの状況下で「憲法審査会」?

そして安倍自民党は、よりによってこの危機的状況のさなかに「改憲」を持ち出してきた。

www.sankei.com

 安倍晋三首相は7日の衆院議院運営委員会で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた憲法改正議論に関し「緊急時に国民の安全を守るため、国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えていくべきかを憲法にどのように位置づけるかは極めて重く大切な課題だ」と述べた。日本維新の会の遠藤敬氏の質問に答えた。

 首相は自民党の改憲案に緊急事態対応を盛り込んでいることを説明。「新型コロナウイルス感染症への対応も踏まえつつ、国会の憲法審査会の場で、与野党の枠を超えた活発な議論が展開されることを期待したい」と語った。

「緊急事態対応」などもちろん口実に過ぎない。そもそも無能集団の自民党に緊急事態に対応する能力などないことは、いま目の前で進行中の現実が証明している。なにしろ、医療機関へのマスクや手袋、防護服の供給といった、現行法の範囲内で十分可能なことさえほとんど何もできていないのだ。

安倍らがやりたいのは、緊急事態への対応能力を強化することなどではない。「緊急事態」を理由に国会での立法をすっ飛ばして好き勝手な法律を作り、人権を無視した強権発動ができるようにしたいだけだ。[2]

「正気とは思えない」 自民改憲草案に元最高裁判事

 元最高裁判事の浜田邦夫さんを招き、自民党改憲草案について学ぶ憲法カフェが20日、参議院議員会館で開かれた。安倍政権が改憲の重要項目に掲げる緊急事態条項について、浜田さんは「正気の人が書いた条文とは思えない。新設されてしまえば世界に例を見ない悪法になる」と厳しく批判した。

(略)

 浜田さんは、条文の項目に沿って問題点を指摘。〈内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる〉と記された99条1項について、「立法府である国会の承認が全くなくても、法律を作れてしまう。緊急事態の効力の期間も定められておらず、永久に政権運営ができてしまう」と強調した。

 さらに、〈緊急事態が発せられた場合、何人も公の機関の指示に従わなければならない〉とする99条3項についても「罰則付きの国民の協力義務となると、憲法上の基本的人権も全く無視される。組織が重要で、個人は組織に従わなければならない、その組織運営は『俺がやる』という発想は独裁政権そのものだ」と問題視した。

その上、自民党の改憲案では「緊急事態」はいくらでも延長できるのだから、選挙もなしの永久独裁が完成してしまうことになる。

愚かで無能なくせにフリーハンドの独裁権限ばかり欲しがる。こんな連中にこのまま権力を持たせておいたら日本は間違いなく破滅する。


[1]  江夏大樹  『火事場泥棒を許さない 検察人事への介入を止めよう』 東京法律事務所Blog 2020/4/11
[2] 『「正気とは思えない」 自民改憲草案に元最高裁判事』 神奈川新聞 2016.1.21

 

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