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34年前の創価学会婦人部による漫画がまるで予言の書のようで恐ろしい

今では信じられないような話だが、自民党と連立する前の公明党は、「平和の党」の旗を掲げて、護憲・人権擁護・平和主義を主張していた。(今でも建前としては「平和の党」を自称している。)

そんな公明党の支持母体である創価学会(創価学会婦人部平和委員会)は1988年、『まんが わたしたちの平和憲法』という、憲法の大切さを訴える本を出版している。

ブログ「Seoul Life」さんがその最終章を紹介されているのだが、その内容は今この国に起こりつつある事態を予言していたかのようで、実に恐ろしい。[1]

主人公の少年二人は、高校を卒業するとヨットに乗って世界をめぐる旅に出た。しかし、彼らが久しぶりに日本に帰って来ると、空には日本軍の戦闘機が飛び、海には潜水艦が走り回り、帰りを待っていた母親は乏しい配給しか食べるものがなくやせ細っている。

そして、帰宅した彼らを徴兵しようと警官が家にやって来る。

どうしてこんな事態になってしまったのか。それを説明する母親の話が、まさに今進行しつつある事態とそっくりなのだ。

衆議院での改憲勢力は昨年の総選挙でとっくに2/3を突破している。

参議院はかろうじて2/3のラインを守れているが、今回の参院選で予想通り自公維が大勝すれば、こちらも容易に突破されてしまうだろう。そしてその後は、解散等がなければ3年間も国政選挙はない。

自公維はこの3年の間に必ず憲法改悪を狙ってくる。

最後に残る防壁は国民投票だが、広告規制も運動資金の制限もない国民投票法の下では「金のある側の勝ち」という結果になることが目に見えている。最低投票率の規定すらないのだから、最近の国政選挙並みの投票率50%なら、有権者のわずか1/4を組織票や広告宣伝で動員されれば憲法は変えられてしまうのだ。

その結果が自民党の憲法改正草案のような代物であれば、9条の改変どころの話ではない。この国の住民はもはや基本的人権の保障もなく、いったん緊急事態が宣言されれば国会審議も経ずに政府が発する命令に一方的に従わされるだけの奴隷と化してしまう。

公明党はそんな改憲案にも(最初だけ反対のポーズをとりつつ結局は)賛成するのだろうが、その公明党を支える創価学会員は本当にそれでいいのか?

創価学会の初代会長牧口常三郎は、戦時下の1943年に治安維持法違反と不敬罪の容疑で特高警察に検挙され、翌年獄死している。学会幹部に言われるまま、そんな時代の再来に手を貸してもいいのか、真剣に考えてみるべきだろう。

[1] Seoul Life「自公は平和憲法を捨てた。……28年前の創価学会婦人部編『まんが・わたしたちの平和憲法』に書かれた戦争へのシナリオが今の状況とそっくり(あとがき追加)」2016/6/23