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君が代の「君」は「愛するあなた」でもなければ「次世代のあなたたち」でもない

こういう君が代の嘘現代語訳は定期的に流れてくる。

それにしても、「さざれ石の巌となりて」が「一人ひとり(個性)を大事にしつつ、協力し」とは、よくもまあここまでデタラメな解釈ができたものだ。

言うまでもなく、君が代の「君」は「愛するあなた」でもなければ「次世代のあなたたち」でもない。絶対的主権者として君臨する天皇その人以外ではあり得ない。

詳細は下記の記事に書いたからここでは繰り返さないが、

要点をかいつまんで言えばこういうことだ。

  • 君が代 の原型と言われる古今集収録の和歌は恋歌ではなく賀歌であり、天皇(恐らく平城天皇)の長寿を願う歌である。
  • さらに、国歌としての君が代の歌詞は古今集ではなく薩摩琵琶歌「蓬莱山」の歌詞から採られており、その歌詞全体を見れば、明白に君主の長寿と治世の永続を願う歌となっている。
  • 明治初期に国歌として作られて以来、君が代は教育勅語とともに「臣民」に天皇への崇拝と絶対服従を植え付けるために使われてきた。

実際、尋常小学校で使われていた教科書で、君が代の意味は次のように説明されている。

「君が代」の歌は、我が天皇陛下のお治めになる此の御代は、千年も萬年も、いや、いつまでもいついつまでも續いてお栄(さか)えになるやうに。」といふ意味(いみ)で、まことにおめでたい歌であります。私したち臣民が[君が代」歌ふときには、天皇陛下の萬歳を祝ひ奉り、皇室の御栄を祈り奉る心で一ぱいになります。外國で「君が代」の奏樂をきくときにも、ありがたい皇室をいいただいてゐる日本人と生まれた嬉しさに、思はず涙が出るといひます。


調べてみたところ、例の画像は2016年には既にネットに出回っているので、先のツイ主はただ拾った画像を投稿しているだけなのだろう。しかし、その背後にはこういう嘘訳を作ってはせっせと拡散しているウヨがいるわけだ。

君が代にせよ教育勅語にせよ、インチキな自称現代語訳を作って拡散する右派の目的は、こういうソフトな意味なのだと誤解させて、旧大日本帝国のシンボルを大衆に広く受け入れさせることだろう。そして改憲と称する明治憲法回帰・独裁体制確立が成功した暁には、もちろん君が代は天皇陛下を称える歌だと手のひらを返すのだ。

戦前も戦後も少しも変わらず、右翼は嘘ばかり。君が代の現代語訳など一見些細なことのように見えるが、平然と嘘をつくこういう卑劣さが、この国のウヨの本性を暴露している。