読む・考える・書く

マスコミやネットにあふれる偏向情報に流されないためのオルタナティブな情報を届けます。

検察が身内をかばって起訴しない国など法治国家ではない

2021年3月に名古屋入管で死亡(虐待死)したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの件について、検察は再度不起訴にして捜査を終わらせるという。

東京新聞(8/10)

  2021年3月、名古屋出入国在留管理局(名古屋市)の施設に収容中だったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が死亡した問題で、告訴・告発後に不起訴となり、名古屋第1検察審査会が「不起訴不当」と議決した当時の局長ら13人について、名古屋地検が再び不起訴とする方向で検討していることが10日、関係者への取材で分かった。不起訴となれば事実上、捜査が終結する。

ウィシュマさんが死に至った経緯からして未必の故意による殺人もあり得るし、少なくとも業務上過失致死は確実に問えるはずなのになぜ起訴しないのかと思っていたら、こんな衝撃的なツイートが流れてきた。


確認してみたら、まさにそのとおりだった。

現在の出入国在留管理庁長官である菊池浩は昨年7月22日付で最高検検事から栄転。

日経新聞(2022/7/22)

法務省は22日、出入国在留管理庁の長官に菊池浩最高検検事を充てる人事を発表した。佐々木聖子長官は退職する。(略)

菊池 浩氏(きくち・ひろし=出入国在留管理庁長官)88年(昭63年)東大法卒。90年検事任官。21年最高検検事。茨城県出身、58歳。

次長だった西山卓爾は逆に、今年7月14日付で最高検検事に就任している。

ちなみに、この西山は入管法改悪にあたって、国会で次のような傲岸不遜な答弁を行った人物だ。

志葉玲『西山入管庁次長の冷酷「2歳の妹が39度の熱、病院に行けなかった」難民少女の訴えへの国会答弁が酷すぎる』(4/27)

 正に「血も涙もない」とはこのことか。現在、国会で審議されている入管法改定案*1によって、強制送還の危機にある難民の子ども達が24日、都内で記者会見を行い、「日本にいたい」「人間として扱って」と訴えた。だが、関連する国会質疑の中で、出入国在留管理庁(入管)の西山卓爾次長の答弁は、日本が締約している国際条約や、子ども達の未来、命すらも何とも思っていないような、異常さが際立つものであった。

(略)

西山卓爾入管庁次長 衆議院インターネット審議中継より

 こうした、子ども達の状況に対し、入管庁は恐ろしいまでに冷酷だ。今月17日の国会質疑で、本村伸子衆議院議員(共産)が、上述の高熱を出した2歳の幼児が病院に行けなかったこと等を例にあげ、「明らかに(子どもの権利条約の)生命、生存、発達に対する権利が保障されていない」と追及した。これに対し、西山卓爾入管庁次長は「我が国は締約・締結している、人権諸条約を誠実に履行しており、我が国の入管制度がこれに違反するものとは考えていない」と強弁したのだった。

 また、上述の高校2年生の少女のように、日本で初等中等教育機関で相当期間で教育を受けた子どもに在留特別許可を認めるかについて、西山次長は「親の他に適切な養育者がいる場合、子どもだけに在留許可を認める」と答弁したが、これは子どもの権利条約第9条「親と引き離されない権利」に反するものだ。

(略)

 これらの西山次長の答弁が浮き彫りにするのは、自らの組織に都合の悪い事実は一切認めず、子ども達の命や健康も、日本が締約する国際条約よりも、「入管の論理」を優先しているということだ。法務省・入管庁は、入管法改定案を「保護すべき者を確実に保護する」ためのものだと主張しているが、それがいかに信用が置けないものかは、西山次長の姿勢からも明らかであろう。

こういう、人権も国際法も歯牙にもかけないような人物が馴れ合いながら出世していくのが高給官僚の世界なのだろう。

日本政府は何かというと民主主義だの法の支配だのとのたまうが、検察が身内をかばって起訴すべき事件を起訴しないような国に法の支配などない。