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長谷川幸洋には「論説副主幹」はもちろん「ジャーナリスト」を名乗る資格もない

1月2日の放送で事実無根の沖縄ヘイト&在日ヘイトを垂れ流した東京MXテレビ「ニュース女子」。この差別扇動番組で司会を務めている長谷川幸洋東京新聞中日新聞論説副主幹)について、放送一ヶ月後にようやく東京新聞が態度を表明した。

東京新聞(2/2)

「ニュース女子」問題 深く反省 沖縄報道 本紙の姿勢は変わらず

 本紙の長谷川幸洋論説副主幹が司会の東京MXテレビ「ニュース女子」1月2日放送分で、その内容が本紙のこれまでの報道姿勢および社説の主張と異なることはまず明言しておかなくてはなりません。

 加えて、事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものでもありません。

 残念なのは、そのことが偏見を助長して沖縄の人々の心情、立場をより深く傷つけ、また基地問題が歪(ゆが)めて伝えられ皆で真摯(しんし)に議論する機会が失われかねないということでもあります。

 他メディアで起きたことではあっても責任と反省を深く感じています。とりわけ副主幹が出演していたことについては重く受け止め、対処します。

(略)

 読者の方々には心配をおかけし、おわびします。

 本紙の沖縄問題に対する姿勢に変わりはありません。 (論説主幹・深田実)

(略)

◆「ニュース女子」問題とは

 東京MXテレビは1月2日放送の番組「ニュース女子」で冒頭約20分間、沖縄県東村(ひがしそん)高江の米軍ヘリコプター離着陸帯建設への反対運動を取り上げた。本紙の長谷川幸洋論説副主幹が司会を務めた。

 「現地報告」とするVTRを流し、反対派を「テロリストみたい」「雇われている」などと表現。反ヘイトスピーチ団体「のりこえねっと」と辛淑玉(シンスゴ)共同代表(58)を名指しし「反対派は日当をもらってる!?」「反対運動を扇動する黒幕の正体は?」などのテロップを流した。辛さんは取材を受けておらず、報告した軍事ジャーナリストは高江の建設現場に行っていなかった。

(略)

 のりこえねっとは沖縄の現場から発信してもらう「市民特派員」を募集、カンパで捻出した資金を元手に、本土から沖縄までの交通費として5万円を支給。昨年9月から12月までに16人を派遣した。

これに対して、長谷川本人が次のように「反論」しているのだが、看過できない内容なのでコメントを加えておく。

現代ビジネス(2/10)

東京新聞の論説主幹と私が話し合ったこと
「事なかれ主義」を強く憂慮する

いったい、なにが「不始末」だったのか

私が司会を務めるテレビ番組『ニュース女子』に関連して、東京新聞が私を「処分」すると通告してきた。私は「処分は言論の自由の侵害になる」と考え、受け入れられない旨を返答した。いったい何が起きているのか、とり急ぎあきらかにしよう。

問題の番組はご承知の読者も多いかもしれないが、1月2日放送分の沖縄・東村高江で起きていた米軍ヘリコプター離発着場建設に対する反対運動の現地報告だ。

問題の番組は高江で行われている「反対運動の現地報告」などではない。そもそも現地に行っていない上、40Km以上も離れた二見杉田トンネル前で車を停め、反対派の暴力行為が危険で現場に入れないなどと虚偽の内容を流している。その上、「反対派が救急車を止めた」など、ネトウヨが拡散させた多数のデマまで、何の裏とりもなく流している。

(略)

最後の「重く受け止め、対処します」というのは、素直に読めば「不始末を犯した長谷川を処分する」と世間に公表したようなものだ。私もそのように受け止めている。いったい、何が不始末だったのだろうか。

そもそも東京新聞とニュース女子は関係ない。それでも私を処分するというのは、私が論説副主幹を名乗っているからだろう。だが、論説副主幹を名乗ってテレビで発言したり意見を発表したのは、昨日今日に始まった話ではない。論説委員時代も含めれば、10年以上前からそうだ。

反省文を読む限り、番組内容が東京新聞の論調と異なっているうえ「事実に基づかない論評」があり、またそれが「沖縄の人々の心情、立場を深く傷つけた」という話になる。どの部分が「事実に基づかない」とみているのかについて、反省文は明示していない。

事実関係は番組スタッフが取材を続けているので、私としてはその成果を待つ。反対運動の参加者に一部であれ、金銭を支出していた点は反対派も認めている。私は司会者であり、論評したのは別のコメンテーターたちとビデオ出演した地元関係者である点も言っておきたい。

日当を渡して抗議行動に参加者を動員することと、現地を取材してくれる市民記者に交通費の補助をすることとはまったく違う。「ニュース女子」は、のりこえねっとが「東京から、そういう反対派の人たちに、さあ一緒にみんなおいで、5万円あげるから」と言って動員したと、明白な嘘を流したのだ。だいたい、あれが「日当もらって反対運動」だと言うなら、「ニュース女子」がやっていることは何なのか。極右のスポンサーから日当もらっての反対運動潰しではないか。

さらに、自分は司会者に過ぎず、論評したのは他の出演者や地元関係者だというのも、責任のがれの言い訳でしかない。この点についてはリテラが「長谷川氏はMCが番組の“顔”であり、その内容や方針を決定し、番組中もVTRの内容や発言をチェックする責任ある立場だという自覚がない」「井上和彦氏のデタラメな沖縄取材やその解説に、うなずいたり、嬉しそうに同意、また沖縄への差別を助長するような誘導質問さえ行っていた」「それを棚に上げて、番組コメンテーターや沖縄の地元関係者に責任転嫁するとは、卑劣としか言いようもない」と評している[1]が、まったくそのとおりだろう。

(略)

結局、反対運動に対する見方の違い、東京新聞の報道姿勢と社説の主張にそぐわない番組だったことが私の処分につながっている。私が所属する新聞と異なる意見を社の内外で発表しても、いっこうに問題はない。それは言論の自由そのものだ。私はかねてから東京新聞と異なる主張をしてきた。

意見が新聞と異なるのを理由に私を処分するのは、言論の自由に反する。こんなことを許すわけにはいかない。

(以下、問題の本質とは関係ない、「処分」をめぐる東京新聞の内情の話なので略)

「ニュース女子」が垂れ流したデマ、沖縄ヘイトについては、関西MBSテレビのドキュメンタリー『映像’17 沖縄 さまよう木霊(こだま) 基地反対運動の素顔』がきっちりと検証を行っている。「取材」とは、こういう仕事のことを言うのだ。長谷川も、他の出演者も、彼らが垂れ流したデマを喜々として拡散したネトウヨも、このドキュメンタリーを百回くらい見て反省すべきだ。

そもそも、長谷川が批判されているのは、東京新聞の報道姿勢と異なる意見を述べているからなどではない。東京新聞論説副主幹という肩書を使ってヘイトデマの拡散に手を貸しているからだ。デマを流すのは言論の自由などではない。

それすら理解できていないのなら、長谷川には「論説副主幹」はもちろん、ジャーナリストを名乗る資格もない。

[1] 「『ニュース女子』長谷川幸洋のネトウヨ的反論がヒドい! 自分でヘイトデマ流しながら東京新聞謝罪に「言論の自由に反する」」 リテラ 2017.02.10

 

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