読む・考える・書く

マスコミやネットにあふれる偏向情報に流されないためのオルタナティブな情報を届けます。

安倍自民党が導入をもくろむ緊急事態条項は狂気の独裁条項そのもの

【広告】

憲法記念日の3日、安倍晋三は新型コロナウイルス問題を口実に改憲と緊急事態条項導入への「意欲」を示した。

web.archive.org

憲法記念日の3日、安倍総理大臣は憲法改正への意欲を改めて示したうえで、新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言を出していることを踏まえ、緊急事態への対応を憲法にどう位置づけるか、国会で議論すべきだという考えを示しました。

(略)

また安倍総理大臣は新型コロナウイルス対策で、緊急事態宣言を出して対応していることを踏まえ、「緊急事態における国家や国民の役割を憲法にどう位置づけるかは極めて重く、大切な課題だと改めて認識した」と述べました

そのうえで、「自民党がたたき台として、すでに示している改憲4項目の中にも、『緊急事態対応』は含まれているが、まずは国会の憲法審査会の場で、じっくりと議論を進めていくべきだ」と述べ、緊急事態への対応を憲法にどう位置づけるか、国会で議論すべきだという考えを示しました。

自民党改憲草案における緊急事態条項とは、次のような代物だ。

(緊急事態の宣言)

第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる

 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。

 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない

 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。


(緊急事態の宣言の効果)

第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる

 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。

 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。

 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる

要点を整理すると以下のようになる。

  • 総理大臣は閣議決定だけで緊急事態を宣言することができる。宣言の理由は武力攻撃、内乱、大規模自然災害(これらも定義は不明だが)だけには限定されず、事実上きっかけは何でもよい。

  • 宣言には国会の承認が必要というが、議会多数派が内閣を構成する議院内閣制である以上、不承認はそもそも考えにくい。また、いったん宣言を出してしまえば、あとは百日を単位として事実上いくらでも期間を延長できる。

  • 緊急事態宣言下では、内閣は好き勝手に法律(と同一の効力を持つ政令)を作り、その執行のための経費を支出し(上限規定なし)、また知事や市町村長に指示命令することができる。

  • 緊急事態宣言下では「何人も」、つまり公務員だけでなく一般市民や民間企業も政府の命令に従わなければならない。「何人も」にはマスコミやネット企業、通信事業者まですべて含まれるのだから、一般人はいま何が起こっているのかを知ることも、抗議の声を上げることも一切できなくなる。さらに、政府は警察はもちろん検察や裁判官も直接の支配下に置くことができ、逆らう者は誰でも逮捕投獄できるようになる。

  • 緊急事態が続く限り選挙は行われず、政権交代は不可能となる。また、政府は国会法も自由にいじれる上、国会内で何が起こっても政府広報以外の情報は外部に伝わらないので、野党の抵抗は一切不可能となる。


まさに、元最高裁判事の浜田邦夫氏が指摘するとおり、正気の人間が書いたとは到底思えない独裁条項だ。[1]

「正気とは思えない」 自民改憲草案に元最高裁判事


 元最高裁判事の浜田邦夫さんを招き、自民党改憲草案について学ぶ憲法カフェが20日、参議院議員会館で開かれた。安倍政権が改憲の重要項目に掲げる緊急事態条項について、浜田さんは「正気の人が書いた条文とは思えない。新設されてしまえば世界に例を見ない悪法になる」と厳しく批判した。

(略)

 浜田さんは、条文の項目に沿って問題点を指摘。〈内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる〉と記された99条1項について、「立法府である国会の承認が全くなくても、法律を作れてしまう。緊急事態の効力の期間も定められておらず、永久に政権運営ができてしまう」と強調した。

 さらに、〈緊急事態が発せられた場合、何人も公の機関の指示に従わなければならない〉とする99条3項についても「罰則付きの国民の協力義務となると、憲法上の基本的人権も全く無視される。組織が重要で、個人は組織に従わなければならない、その組織運営は『俺がやる』という発想は独裁政権そのものだ」と問題視した。

こんな「改憲」を許したら、日本は戦前戦中以下の野蛮国に転落する。

[1] 『「正気とは思えない」 自民改憲草案に元最高裁判事』 神奈川新聞 2016/1/21

【関連記事】

 

民主主義の敵は安倍晋三

民主主義の敵は安倍晋三

  • 作者:佐高 信
  • 発売日: 2014/08/05
  • メディア: 単行本
 
自民党という病 (平凡社新書)

自民党という病 (平凡社新書)