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あの検査ルールは「ある意味」とても良くできている

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前回記事で見たように、「帰国者接触者相談センター」のマニュアルで使われている検査ルールはとんでもない代物だった。事実上、既に重症化していて入院しなければ命が危ないような状態でなければ検査してもらえないのだから、疑わしい症状に苦しむ患者やそうした患者を抱える現場の医師から見れば、犯罪的でさえある。

しかし、別の立場の人間から見れば、この検査ルールは実に良くできているのではないか。

ステップ2で引用されている「COVID-19擬似症届出基準」を見ると、濃厚接触歴や渡航歴がない者は「一般に認められている医学的知見に基づき、集中治療その他これに準ずるものが必要」でない限り検査は受けさせないとしている。しかし、感染確定者との濃厚接触歴がある場合は「発熱または呼吸器症状(軽症含む)」だけ、流行地域への渡航歴や渡航歴のある者との濃厚接触歴がある者についても、「37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状」があれば検査の対象となる。どちらも一切待つ必要はない。

このような基準で検査対象者を絞り込んでいくと何が起こるか。

まず、感染研が推進する「積極的疫学調査」による「クラスター対策」にとってはとても都合が良い。流行地域から来た者や感染者との濃厚接触歴がある者など、「クラスター対策」で想定する感染者は検査により効率的に見つかる一方で、クラスターとの連鎖が追えない市中感染者はほとんど見つからない。市中感染者が重症化せずに治ってしまえば検査対象にならないので、そんな感染者は最初からいなかったことになってしまう。

すると、現実の感染状況とは関係なく、感染研流の「クラスター対策」によって大部分の感染者がきちんと見つかり、感染の連鎖を正しく追って対策が打てたことになってしまう。感染研にとってはとても良いルールなわけだ。

もちろん、できるだけ感染者数を少なく見せたい安倍政権にとっても良いルールなわけで、政権と感染研はWin-Winの関係となる。

そのとばっちりで苦しむのは、第一に検査もされないまま放置される市中感染者であり、また重症化した後でようやく送り込まれた患者に向き合わねばならない医療関係者だが、政権や感染研にとってはそんな人々のことなどどうでもいいのだろう。

こんな理不尽なルールを誰が発案し、どのような経緯でこれが決定されたのか、専門家会議の議事録などすべての関連情報を公開させて解明しなければならない。

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