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このままでは検査を受けられないまま自宅で死んでも「勝手にやったこと」にされてしまう

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自粛の果ての倒産・失業は「勝手にやったこと」?

「読む国会」の平河エリ氏が、『このままでは、コロナ自粛は「国民が勝手にやったこと」にされてしまう』と警鐘を鳴らしている。

gendai.ismedia.jp

「お前たちの志願である」

太平洋戦争時、神風特別攻撃隊の志願者を募るとき、玉井浅一中佐はこう言った。

「お前たちは誰より可愛い。だから一番可愛いお前たちを日本の歴史に其の名を載せて、悠久の神として祭ってやりたいのだ。この気持ちをわかって欲しい。ただし、これは命令ではない。あくまでもお前たちの志願である」(神立尚紀、大島隆之『零戦 搭乗員たちが見つめた太平洋戦争』講談社)

すべては「志願」だった。命令は存在しない。志願である。だから、上官の責任は存在しない。特攻隊員は志願し、死んでいった、とされる。

(略)

この構図を現代に当てはめるとどうなるか。

新型コロナウイルスでは「自粛要請」が行われているが、残念ながら多くの識者が指摘する通り、十分な補償が行われていない。「自粛」を「要請」するという矛盾した言葉遣いに現れているとおり、「飲食店は勝手に休業しているから補償は必要がない」ことにされてしまうのだ。勝手に自粛しているのだから補償は必要ない。勝手に休んでいるのだから、生活を支援する必要はない。みんなそれぞれ「自分の意志で」休んでほしい。

政治が責任を負わず、国民・市民の行動は「志願」と読み替えられてこの国は回っている。

この国では、政権を握る与党政治家が果たすべき責任(この場合で言えば、飲食店や企業が安心して休めるよう休業補償の金を出すこと )を果たさず、ただマスコミを使って「自粛」「自粛」と同調圧力を煽り、非国民扱いが嫌なら倒産覚悟で休業するしかないという理不尽を強いている。

休業要請と補償をセットで行っている先進国とはあまりに違う。

こうして本来責任を負うべき者たちは逃げていき、すべての責任が末端に押し付けられる。そして、その結果どんな苦境に陥っても、すべては当事者が「勝手にやったこと」にされてしまう。

検査も受けられないまま死んでいく人々

23日に亡くなった女優の岡江久美子さん(63)は、3日に発熱した後、自宅で様子を見ていたが6日に急変、救急搬送先の病院でPCR検査を受けて初めて感染が確認された。

www.nikkansports.com

女優岡江久美子さん(63)が新型コロナウイルスによる肺炎のため、都内の病院で亡くなったことが23日、分かった。所属事務所によるとこの日午前5時20分、都内の病院で死去したという。

関係者によると、今月3日発熱し、医者からは4~5日様子をみるように言われていたが、6日に容体が急変したという。そのため、都内の病院に救急搬送されて入院した、すぐにICUで治療を受け、人工呼吸器を装着。PCR検査を受け、新型コロナウイルスの感染が確認された。

昨年末に初期の乳がんの手術を受け、1月末から2月半ばまで放射線治療を受けたという。関係者は、免疫力が低下していたのが重症化した原因ではないかと推測した。

東京世田谷区の50代男性も、保健所に電話がつながらないという事情はあったものの、結局検査すら受けられないまま社員寮の自室で亡くなった。

www.tokyo-np.co.jp

 友人によると、男性が発熱したのは今月三日。その少し前から職場の上司に発熱とせきがあったため、男性は九州の自宅に残る妻に「新型コロナに感染したかもしれない」とLINE(ライン)でメッセージを送っていた。男性は世田谷保健所の相談センターに何度も電話したが、回線が混み合っていたためか、一度もつながらなかったという。

 男性が自宅待機していた七日、上司はPCR検査で陽性と判定された。男性は会社から「濃厚接触者に当たる可能性がある。検査を受けるように」と言われ、再び相談センターに電話したが、またしてもつながらなかった。

 かかりつけ医が保健所に連絡してくれたことで、男性は二日後の九日にようやく検査を受けられることに。だが、病院は検査を受ける人であふれていたようで、妻に「結果が出るまで一週間かかると言われた」とメッセージを送っている。

 入院することもなく寮に戻った男性。「せきがひどくて眠れない。胸が痛い」「薬局に薬を届けてもらった」。十日夜、妻にラインで状況を伝えた後、応答がなくなった。翌十一日、寮で暮らす同僚が部屋に様子を見に行くと、既に息絶えていた。 

この男性だけでなく、自宅や路上で急死し、警察が「変死」として扱った人が実は感染していたという事例が、4/25までに確認された分だけで既に15人も出ている。

検査抑止を決めた責任者たちが逃げていく

命にかかわる病気にかかっている人々が、検査もされず、従って入院もできないまま、自宅や路上で死んでいく。こういう事態を「医療崩壊」と言うのではないのか。

こんな事態を招いた責任は、危険地域からの帰国者や感染者の濃厚接触者でなければ検査をさせないとか、発熱しても4日は自宅で様子を見ろなど、検査を抑止する「ルール」を決めてこれを強いてきた者たちにある。

ところが、いよいよこうした対策の誤りが隠しきれなくなってきた途端、責任者たちは我先にと逃げ出し始めた。

# 感染時に備えよう

体調が悪くなってしまったら、どうすれば良いのでしょうか?
いまから備えておくことが大切です。

 

体調が悪いときにすること

# うちで治そう

# 4日間はうちで

もし体調が悪いとき、どうすればよいのでしょうか。

もちろん、誰でも出来るだけ早くお医者さんにかかりたい。しかし、行った先の病院などの医療機関でコロナに感染してしまうこともありえます。また、今は皆さんで協力して医療を守っていくことも大事です。

微熱やせき等の風邪の症状がある時、まずはご自宅でしばらく様子をみましょう。ご自宅で安静にして、体の回復を待ちましょう。

持病がない64歳以下の方は、風邪の症状や37.5℃以上の発熱でも4日間はご自宅で、回復を待つようにしてください。

コロナ専門家有志の会(政府対策本部の専門家会議や厚労省クラスター対策班等の関係者で組織された専門家の有志の会)は、「体調が悪いときにすること」としてこんな宣伝↑をしてきたくせに、何の謝罪もなく、宣伝内容をしれっと「更新」した↓。

そして政策決定の最大の責任者である加藤厚労相は、よりによって、発熱4日ルールは保健所や市民が勝手に誤解したものだと言い出した。

このままでは仕事どころか命を失っても「勝手にやったこと」にされる

いま目の前で進行しているのはリアルタイムの歴史修正だ。このままでは、検査すら受けられず、手当をほどこされないまま死んでも、それは当人が「勝手にやったこと」で、政府にも専門家会議にも責任はなかったことにされてしまうだろう。

平河氏は先の記事で、責任を取らない権力者や官僚を見過ごすことの危険性を、こう警告している。

じつは、こうした「責任の放棄」は、トップだけの問題ではない。財務省の改ざんに加担したものの多くも、彼ら責任を放棄することを選んだ。唯一、自死という最も悲しい選択肢を選んだものだけが、真実を語ることが出来たのだ。

我々にも2つの選択肢が与えられている。公文書の改ざんを見過ごし沈黙する人々と同じになるか、責任を取るべき人に取らせ、責任が存在する社会に戻るか、だ。

これは、思想や信条の問題ではない。もし、支持政党や、思想や、現政権へのスタンスだけで、一人の人間の死から目をそらすことが出来るのならば、それは、人間性の放棄だ。

我々は特攻を非難する。我々はナチを非難し、それに協力したものを憎む。我々は、ハラスメントにより死を選んでしまったことを悲しむ。

映画『シンドラーのリスト』に、こういう台詞がある。

「一人の人間を救うものは、世界の全体を救う」

全体主義の本質とは、個の喪失であり、人間を個々の存在から、全体の一部としてしまうことにある。

我々はまさに今、全体主義の入り口に立っている。その先に待っているのは、全てを「志願」させられる社会である。

政治家、官僚、専門家、一人ひとりの責任を明らかにしてきっちり落とし前をつけさせねばならない。彼らの無能無責任を放置していたら、いずれ命も財産もすべて「全体」のために捧げさせられることになる。