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救命より命の選別を優先するような者たちは医療の場から去れ

毎日新聞(6/6)に、「高齢の患者が集中治療を若者に譲ることを想定した意思カード」の話が載っていた。

mainichi.jp

 新型コロナウイルス感染症を巡り、高齢の患者が集中治療を若者に譲ることを想定した意思カードに注目が集まっている。公開したのは、循環器内科医の石蔵文信・大阪大招へい教授(64)が代表を務める団体。人工心肺装置など医療資源が逼迫(ひっぱく)した現場で、どの患者に使うべきか「命の選択」を迫られた場合の医療従事者の精神的負担を減らすのが目的だが、高齢者への圧力になると批判する意見もある。

 この団体は、高齢者らの健康などをサポートする一般社団法人「日本原始力発電所協会」。意思カードには「新型コロナウイルス感染症で人工呼吸器や人工肺などの高度治療を受けている時に機器が不足した場合には、私は若い人に高度医療を譲ります」と記載され、同意した人が署名する。4月にホームページで紹介すると、アクセス数はそれまでに比べ100倍以上に急増したという。

(略)

 病気などで意思決定の力が衰えた時に備え、厚生労働省も、治療や生き方について事前に家族や医師らと話し合って決めておくACP(アドバンス・ケア・プランニング)を勧めている。石蔵さんは「『高齢者が切り捨てられる』といった批判があることは承知している。だが、いざという時にどうしてほしいのか。先送りせず、考えるきっかけにしてほしい」と訴えている。【渡辺諒】

冗談ではない。これほど同調圧力の強い日本でこんなカードなど導入したら、高齢者は高度医療を諦めろという圧力として作用するのは明白ではないか。

だいたい、今は新型コロナウイルス感染症の流行が一応収まっている状態であり、だからこそ、今後発生が予想される第2波第3波に備えて早急に人工呼吸器をはじめとする医療資源の拡充を図るべき時期だろう。なのに、「高齢者らの健康などをサポートする」と称する団体が、政府にそうした対策を求めるどころか、医療資源が足りなくなることを前提に、高齢者に命を諦めるよう促すとは何事か。

そういえば、すでに4月初めの段階で、コロナ対策専門家会議が似たようなことを言っていた。

専門家会議といえば、それこそ政府に対して専門家としての知見に基づく助言をするのが使命だろう。この感染症から少しでも多くの人命を救うために政府を動かすのが仕事であるはずの彼らが、政府ではなくその無策による危険に晒されている市民に向かって、人工呼吸器が足りなくなったら諦めろなどと言っているのだ。

いったい、こういう「医師」だの「専門家」だのというのは何なのか。

救命より命の選別を優先するような者たちは、さっさと医療の場からいなくなって頂きたい。