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世代間格差論という悪質な謬論は徹底的に潰しておく必要がある

「たかまつなな」とかいう「時事YouTuber」が、「シルバー民主主義」打破のためと称して、余命投票制度なるトンデモを提案している。

余命投票制度というのは、一人一票という民主主義の大原則を投げ捨てて、平均寿命から投票者の年齢を差し引いたポイント分の投票権にするというものだ。

例えばいま日本の平均寿命は男女平均して85歳くらいなので、20歳の人には65票、40歳の人には45票、60歳の人には25票投票する権利を与えるわけだ。当然85歳を超えたら参政権はなくなる。

なぜこんなことを提案するのかというと、少子高齢化で相対的に高齢者の持つ票の比重が増えた結果、彼らの票が欲しい政治家が高齢者を優遇する政策ばかり実行するため若者が割を食っているからだという。

この人、恐ろしいほどに現実が見えていない。

この国では、物価が急激に上昇しているにもかかわらず、他の普通の国とは違って年金が増額どころか減額されたばかりだが、高齢者優遇政策を取っているというなら、なんでこんなことが起こるのか。

一歩外に出れば、年金では生活できない高齢者たちが痛む体に鞭打って必死に働いている。海外からの来訪者が一様に驚くのは、自国ではとっくに引退して悠々自適の生活をしているような年齢の人たちが日本ではみな働いていることだという。このたかまつなる人物はいったいどこに目をつけて街を歩いているのか。


そして、仮にたかまつが言うように「高齢者優遇政策」を改めて年金や介護支援の予算を削ったらどうなるか。今でさえ苦しい貧乏な高齢者の生活はさらに成り立たなくなり、その負担が子や孫の世代に降りかかってくるだけである。貧乏な若者が貧困に陥った親や祖父母の生活を支えなければならなくなるのだ。

そんなことをして得をするのは、年金などゼロになっても一向に困らない資産家やその家族だけである。

たかまつの主張の裏にある本質は、ありもしない格差だの特権だのを言い立てることで福祉に回す予算を削り、今以上に富裕層に有利な社会にしようということだ。

たかまつは殺到する批判を受けてあれこれ言い訳をしているようだが、珍しくこの件についてはヤフコメがまともなので引用しておこう。

貧乏な若者は貧乏な高齢者になっていくわけで、別に双方の利害は対立していない。利害が対立しているのは社会的階層であり年齢ではない。

だから富裕なミドルやシニア層は平気で同世代の貧しい人達を切り捨てる発言を口にするし、支持もする。

若者VS高齢者を煽るのは20代の時から億単位の収入を得ているひろゆきとか、お嬢様のたかまつななとか大抵は富裕層であるのを見てていても、富裕層とその他の層の利害対立による「社会的階層の格差と分配」の話を高齢者VS若者の問題に話を逸らしたいんだろうなというのがよくわかる。

数の上では富裕層よりもそうでない人達の方が多いのだから、個々人が階級的自覚さえすれば、大衆にとってより良い社会になっていくのだが、富裕層の煽動に踊らされて弱者同士で潰し合いをさせられることが多いのが本当に残念。


格差は世代間にあるのではない。所得階層間、もっとはっきり言えば階級間にあるのだ。

世代間格差論というのはこの現実を見えなくさせ、格差などない庶民の間に分断を持ち込むために作られたデタラメであり、だからこそこうした「インフルエンサー」などを使って拡散されているわけだ。

こういう謬論は徹底的に潰しておかなければならない。