毎日新聞が参院選に合わせて「えらぼーと2016」というサイトを公開している。
候補者と同じアンケートに答えることで、自分と各党・各候補者の意見の一致度が分かるというものだ。
投票先選びというより、自分の考えを整理するのに役立ちそうなので、私もやってみた。以下がその結果。
憲法改正 → 反対
第1問は、「憲法改正」に賛成かどうか。
考えるまでもなく反対。安倍自民党がやろうとしていることは「改憲」などではなく「壊憲」「廃憲」であり、立憲主義の原則自体を投げ捨てて近代国家であることをやめてしまうことなのだから、賛成などあり得ない。
9条改正 → 反対
次は憲法9条「改正」について。
これも当然反対。日本のような国が軍事力に依存して国※を守れるなどという考え自体がお花畑だし、もっと有効な安全保障手段は別にある。
※彼らが「国防」とか言うときの「国」とは何かというのも問題。少なくともこの国土に暮らす民の生活や命のことではない。
ちなみに、集団的自衛権でアメリカの戦争に巻き込まれないよう9条を改正しようという、いわゆる「新9条論」は、「廃憲」を狙う自民党の策に自分から乗る結果にしかならない悪手。
緊急事態条項 → 反対
当然絶対反対。
大規模災害時にこれが必要などというのは大嘘[1]。この緊急事態条項こそが自民党の狙う「廃憲」の肝であり、狂気の沙汰。絶対に許してはならない[2]。
「正気とは思えない」 自民改憲草案に元最高裁判事
元最高裁判事の浜田邦夫さんを招き、自民党改憲草案について学ぶ憲法カフェが20日、参議院議員会館で開かれた。安倍政権が改憲の重要項目に掲げる緊急事態条項について、浜田さんは「正気の人が書いた条文とは思えない。新設されてしまえば世界に例を見ない悪法になる」と厳しく批判した。(略)
浜田さんは、条文の項目に沿って問題点を指摘。〈内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる〉と記された99条1項について、「立法府である国会の承認が全くなくても、法律を作れてしまう。緊急事態の効力の期間も定められておらず、永久に政権運営ができてしまう」と強調した。
さらに、〈緊急事態が発せられた場合、何人も公の機関の指示に従わなければならない〉とする99条3項についても「罰則付きの国民の協力義務となると、憲法上の基本的人権も全く無視される。組織が重要で、個人は組織に従わなければならない、その組織運営は『俺がやる』という発想は独裁政権そのものだ」と問題視した。
電波停止発言 → 問題だ
高市発言は無知と思いあがりによる法の恣意的解釈。総務相としてあり得ない妄言である[3]。
1.大臣は国会答弁の中で、放送法4条について「法規範性がある」と繰り返し強調していますが、放送法には4条に対応する罰則はなく、また4条に基づいた行政処分が行われたことも過去に一件もありません。何を根拠に「法規範性がある」とお考えでしょうか。
2.放送法4条の解釈について、多くの憲法学者・研究者が「番組内容に関する規律は放送事業者の自律に基づくべきで、番組編集準則違反に対して電波法の無線局の運用停止や放送法の業務停止などの行政処分を行うことは表現の自由を保障する憲法上許されない」との見解を明らかにしており、昨年11月に公表されたBPO放送倫理検証委員会の意見書でも、4条については「放送事業者が自らを律するための『倫理規範』であり、総務大臣が個々の放送番組の内容に介入する根拠ではない」と明記されています。それでも大臣が「倫理規範ではない」と断言される根拠は何でしょうか。
3.大臣は国会答弁でしばしば放送法174条にある業務停止命令の規定に言及されていますが、条文に明記されているとおり、地上波放送局にはこの規定は適用されません。それなのに、地上波の番組を念頭にした議論が行われている国会の場で、この条文にしばしば言及されるのは意図的な拡大解釈に当たるのではないかと私たちは考えますが、これを改める考えはありませんでしょうか。
4.昨年来、自民党の国会議員などが放送番組の内容に関して放送局への政治的圧力ともとれるような発言を繰り返しています。昨年4月には、自民党の情報通信戦略調査会がNHKとテレビ朝日の経営幹部を呼び、報道番組の内容について非公開の場で説明させるということもありました。放送法3条は「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と定められており、ここにいう「法律に定める権限」が自民党にないことは明らかです。貴省として自民党を放送法違反で「厳重注意」する考えはないのでしょうか。
⑥高市総務相の「放送法で停波命令もあり得る」発言。あれには2つのポイント;
— 知足的隠遁者 (@SukiyakiSong) 2016年3月22日
A.政治的公平を政治家に判断させたら民主主義は壊れる
B.ひとつの番組だけでも政治的公平性がないと判断されれば停波し得る
テロ迎合と判断されれば瞬的に停波し得る強権的な解釈で、ことは重大。
安倍総理が補選直前にテレビのバラエティ番組に御出演だそうである。本当に見事である。もはやいうべき言葉もない。放送法による電波停止をちらつかせて、テレビ局にプレッシャーを与えたと思ったら、自分は堂々と公共電波を使って選挙向けパフォーマンス。安倍政権によるメディア支配ここに極まれり。
— 小沢一郎(事務所) (@ozawa_jimusho) 2016年4月11日
安倍といい、高市といい、こんな連中を国政に関わらせておいてはならない。
[1] 津久井進 『憲法改正による「緊急事態条項」創設は、災害の現場にとって有害・危険・邪魔でしかない』 2016.3.27
[2] 『「正気とは思えない」 自民改憲草案に元最高裁判事』 神奈川新聞 2016.1.21
[3] 民法労連 『放送法・放送行政に関する公開質問状』 2016.2.16
次記事:「えらぼーと2016」をやってみた(その2)経済・財政関連