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歴史認識-朝鮮人虐殺

関東大震災時の朝鮮人虐殺 -- 「襲ってくる朝鮮人」はいたのか?

これまでの検証により、(1)震災直後の「朝鮮人暴動」を伝える新聞記事はすべて嘘だったこと、(2)10月20日の司法省発表中に含まれる「朝鮮人の凶悪犯罪」にも信憑性がないこと、は明らかになった。 では、これら以外に、体験談や手記といった個人レベルで、朝…

関東大震災時の朝鮮人虐殺 -- 朝鮮人はこうして放火犯に仕立て上げられた

前回記事で説明したとおり、10月20日の司法省発表において朝鮮人によるものとされた凶悪犯罪は、いずれも実体のない流言に過ぎないか、日本人の犯罪を朝鮮人に転嫁したものか、あるいは殺した朝鮮人を犯罪者に仕立てあげたすり替え事例であった可能性が高い…

関東大震災時の朝鮮人虐殺 -- 司法省が発表したとおりの「朝鮮人犯罪」があったわけでは……もちろんない。

前回記事で説明したとおり、10月20日の司法省発表は、「いくら調べても朝鮮人による犯罪はこれしか見つかりませんでした」という宣言であり、震災直後の派手な「朝鮮人暴動」記事は全部嘘だったと司法当局が公式に確認したことを意味している。 朝鮮人による…

関東大震災時の朝鮮人虐殺 -- 司法省発表による「朝鮮人犯罪」記事を朝鮮人暴動の証拠だと思ってしまう残念な愛国者様たち

「関東大震災 朝鮮人暴動」といったキーワードでWebを検索すると、朝鮮人による暴動の実在を主張し、虐殺を否定するヘイトサイトがたくさん引っかかる。その大半は工藤・加藤夫妻による虐殺否定本「真実」「なかった」[1][2]などの引き写しに過ぎないが、こ…

関東大震災時の朝鮮人虐殺 -- あまりにも無残な一例

関東大震災時の朝鮮人虐殺には、無残な事例がいくらでも見つかるのだが、中でも『横浜市震災誌』に記録されたこの一例[1]は、あまりにもむごい。無残とも、理不尽とも、形容する言葉が見つからない。 遭難と人心騒擾に関する実見記 中島徳四郎 私は大地震の…

関東大震災時の朝鮮人虐殺 -- 芥川龍之介には執着するが志賀直哉は無視する朝鮮人虐殺否定本

芥川龍之介は、田端の自宅で関東大震災に遭遇した。このときの経験を、芥川は「大正十二年九月一日の大震に際して」という文章にまとめており、これは全文をネット上でも読むことができる。[1] 工藤美代子『関東大震災「朝鮮人虐殺」の真実』(産経新聞出版 …

関東大震災と「新巻の鮭」

仏文学者の田辺貞之助(たなべ・ていのすけ)氏は、自伝的随筆集『女木川界隈』の中で、生まれ育った故郷である砂村(現在の東京都江東区北砂町)で体験したさまざまな出来事を書き記している。[1] まえがき 江東地区を縦横にはしっていた江戸時代の運河も、…

「朝鮮人暴動」と「朝鮮人虐殺」 ―― 証言の圧倒的な差がすべてを物語る

加藤康男著『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』(ワック 2014年)(以後、「なかった」と略す)は、関東大震災時の「朝鮮人による暴動」は流言ではなく実際にあったのだ、と主張している。そして、その「証拠」と称して、大量の新聞記事や手記の類を引…

関東大震災時の朝鮮人虐殺 -- 否定論者がこの史料を避けて通ることは許されない

加藤康男著『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』(ワック 2014年)(以後、「なかった」と略す)は、朝鮮人による暴動は実際にはあったのに、これを後藤新平内相を中心とする政府が隠蔽したのだと主張している。 この主張をもっともらしく見せるため、…

朝鮮人虐殺否定本に見る恣意的引用の手口

加藤康男著『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』(ワック 2014年)(以後、「なかった」と略す)は、新聞記事の他にも震災当時の様々な資料を用いて、朝鮮人による暴動があったかのように読者に印象付けようとしている。そのうちの一つ、英国のナショナ…

朝鮮人虐殺否定本の暴動隠蔽陰謀論がイミフ過ぎて泣けてくる

前にも書いたが、加藤康男著『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』(ワック 2014年)における虐殺否定論は、論理的には次のような構造を持っている。 朝鮮人が暴動を起こしているというのは流言ではなく事実だったその証拠に、震災直後の新聞に暴動を伝…

朝鮮人虐殺否定本の傍証にならない傍証

加藤康男著『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』(ワック 2014年)が朝鮮人による暴動の証拠として挙げた新聞記事が、この本がもっぱら依拠する9月3日付東京日日新聞も含めまったく信用できないことについては、前回記事で説明した。 今回は、加藤氏…

関東大震災朝鮮人虐殺否定本のデタラメは東京日日新聞を読むだけでバレる

ネット上には関東大震災時の朝鮮人虐殺を否定する妄言があふれているが、そのほぼ唯一のネタ本となっているのが、加藤康男著『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』(ワック 2014年)である。※1 この本の虐殺否定論の骨子を整理すると、次のようになる。…

関東大震災時、「不逞日本人」が悪事を働き、朝鮮人に濡れ衣を着せた

関東大震災時、朝鮮人が暴動を起こしているという流言がどこで、なぜ発生したのかについては、あまり良く分かっていない。 はっきりしているのは、そうした流言が早くも地震発生当日(9月1日)午後から横浜(東京の一部地域も?)で発生し、急速に周囲に広…

小学生の恐ろしい作文

子どもたちが関東大震災の体験を綴った「震災作文」 横浜の震災作文に描かれた朝鮮人虐殺 作文には朝鮮人への同情も虐殺への怒りも見えない 子どもたちが関東大震災の体験を綴った「震災作文」 「震災作文」というものがある。 関東大震災で被災地のただ中に…

「朝鮮人が井戸に毒を入れた」という流言の実態

関連記事: 天下晴れての人殺し 関東大震災時の朝鮮人に関するデマの中に、「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んでいる」というものがあった。 常識的に考えて、来るかどうかもわからない、仮に来るとしてもいつどこに来るか見当もつかない大災害時の混乱を狙って大…

天下晴れての人殺し

関東大震災時の朝鮮人虐殺について、殺害現場を見たという証言はかなりの数が残されているのに対して、「オレがやった」という加害証言はほとんど見当たらない。 いったん狂乱状態から醒めてしまえば、自分の手で人を殺したという告白が容易にできないのは当…

関東大震災後の熊谷市での虐殺

前回に引き続き、民衆(自警団)の手による虐殺を取り上げる。今回取り上げるのは埼玉県熊谷市で起きた事例だが、東京や神奈川での虐殺例とは少し状況が異なっている。 震災によって壊滅的打撃を受けた東京や神奈川では、被害に打ちのめされた民衆が流言飛語…

87年前の今頃は

私の住んでいるこのあたりでも、朝鮮人狩りが行われていたはずだ。 関東大震災後の朝鮮人虐殺については、いまだに真相究明も謝罪も行われていない。 それどころか、この恥ずべき事実を否定しようとする歴史歪曲本が本屋に平積みになっているという、恥の上…