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中国で本屋を覗いてみたよ ― 上海書城編

福州路沿いにある上海で最大の書店、「上海書城」こと新華書店に行ってみた。

もう夜だったので暗いのだが、とりあえず外から撮影。ここは7階建てビルの全部が書店で、日本で言えば八重洲ブックセンターくらいの規模。

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中に入るとこんな感じ。平日夜なのでさすがに客は少ない。

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フロアガイドを見ると、1階が新刊書と旅行・趣味・実用書、2階が文学・地理・歴史、3階が社会・政治・経済、4階が教育関係、5階が工業・農業・医学、6階が音楽・映像・児童書、7階が芸術、という配列。

まずは1階の新刊書コーナーから見てみる。入り口近くの棚には習近平関連書など。

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「外国人の目から見た中国」的な本がいくつか並んでいた。

しかし、「中国はこんなにすごい」「世界が尊敬する中国」みたいな、恥ずかしい本は見当たらない。

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周囲の棚には日本の本もちらほら。

こちらは野坂昭如『火垂るの墓』。

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黒柳徹子の本も。

中国語で「トットちゃん」は「小豆豆」になるらしい。

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目立つところに健康関連書のコーナーができていた。中国でも健康への関心が高まっているのだろう。

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フロア奥のエスカレーター前には共産党関連書籍が大量に置いてある。これはまあ、お約束といったところか。

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2階に上がると、10月のベストセラー一覧が掲示されている。

外国文学の一覧を見ると、ベストテンに東野圭吾が2冊も入っている。(4位と7位。)さらに、6位に『窓際のトットちゃん』も。

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実際、東野圭吾は相当な人気らしく、こんなポスターまで貼られていた。

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で、この山が全部東野圭吾。

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こちらは村上春樹。

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横溝正史も山積み。

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西原理恵子の『生きる悪知恵』。これは「絶対有用」な「史上最強の人生指南」であるらしいww。

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ラノベもたくさん置いてある。野村美月、水市恵、支倉凍砂……いや、読んだことないけど。。

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さて、次は歴史書コーナーへ移動。

大量に積んであったのが、『中国皇帝全伝』。分厚い大型本だが売れているらしい。(歴史地理分野ベストセラー7位。)同じシリーズで『中国后妃全伝』というのもあった。

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こちらは「教科書が教えない歴史」的な本。

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アイリス・チャン『THE RAPE OF NANKING』中国語版のポスター。この本には、「捏造」だ「反日謀略」だと、一部の《特定日本人》たちから激しい攻撃が加えられたが、攻撃者の筆頭と言える東中野修道(亜細亜大学教授)はといえば、大虐殺生存者の夏淑琴さんをニセ者呼ばわりしたあげく名誉毀損裁判で敗訴し、東京地裁の判決文で「被告東中野の原資料の解釈はおよそ妥当なものとは言い難く、学問研究の成果というに値しないと言って過言ではない」とまで書かれるような人物である。(2009年2月5日最高裁で上告棄却、敗訴確定。)

だいたい、例えばユダヤ人大虐殺を追求すると「反独プロパガンダ」になるのか、あるいは、そうなると主張するのはどのような種類の人間かを考えれば、攻撃者たちの正体は明らかだろう。

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次は軍事関係書のコーナーへ。

とりあえず、中国にもミリオタがいることはよくわかったww。

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ここで尖閣問題関係の本を一冊発見。ただし、紛争地域となっているこれらの島の歴史解説、といった内容らしい。

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閉店まで時間がないので、途中階は飛ばして最上階の7階(芸術関係)へ。

日本の影響が濃厚な「マンガの描き方」本が多数。

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『知日』という、月刊?の日本についてのシリーズ本が積んであった。この階に置いてあるところから見てマンガによる解説本だと思うが、「明治維新」「妖怪」「禅」など、かなりディープなテーマが扱われている。

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いかにも中国らしいのがこのあたりの棚。様々な石碑の拓本を手本にした書道のテキストである。

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それでは、上海書城をざっと見て回ってのまとめ。

  • 日本への関心は高い。日本人作家は大人気
  • 嫌日ヘイト本はない
  • 気色悪い自国礼賛本もない

2年前と同じ平凡な結論だが、嫌韓嫌中本であふれるどこぞの国の本屋の惨状とは大違いである。


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