入管という役所がいかに悪質な人権侵害組織であるかは前回記事でも紹介した。これはマスコミがまともに報道しない(どころか入管とつるんで差別を助長する番組を放送したりする)から知られていないだけで、ネットで検索すればいくらでも情報が出てくる。
Googleニュースで「牛久入管」「東京入管」「大阪入管」「難民」などで検索するとストレートニュースから長めのルポに至るまで入管問題についての様々な記事が検索されます。ここでは紹介しきれないので、ご自分で検索してお読みになってください。 pic.twitter.com/RztgDkfhmZ
— #FREEUSHIKU (@freeushiku) 2018年11月21日
そんな入管が、自らの悪行を棚に上げて難民支援を訴える落書きをあげつらうツイートを一つしただけで、たちまち入管を擁護する「お上」大好き臣民たちが湧いてくる。
ここでは、彼らがどんな論理で入管を擁護しているか観察してみよう。
まずは、最も多い「落書きは犯罪だー」型。当ブログにもやはりこのパターンのコメントが寄せられた。
ばっかじゃねーの?
なに犯罪正当化しようとしてんの?
落書きなんかせず行政に言え、それでおしまいあと入管で死亡者?だから何?
犯罪だと思うなら警察に届けろよ
落書きして良い理由なんてどこにもないのがわからんバカパヨクはこれだから
たかが落書きと人命に関わる虐待との重大性の違いも分からないお花畑ぶり。しかも、行政当局の行う犯罪行為を、仲間内の警察に言えば解決してもらえると思っているのだからどうしようもない。
同じような言説がツイッターやヤフコメにも溢れているが、この手の人間はいくら入管の実態を知らされても抗議の声を上げることなどないし、その振る舞いがすべてを語っている。
どんな大義名分があろうと入管による虐待、人権侵害、殺害は正当化されないけど、今回の件で「落書きはけしからん!」と言う人達全員が、それ以上に「入管はけしからん!」と声を上げれば、誰も落書による抗議なんぞせんで済むのだ。https://t.co/1npElWANvs pic.twitter.com/TuG5YG2pZm
— へぼやま (@heboya) 2018年11月22日
入管のやっている人権蹂躙は全力でスルーして、「でも、落書きはいけないよね」って言う奴。
— Mighty Jack (@Mightyjack1) 2018年11月23日
どっかで同じ構図見たな、って気になってた。
見つけたわ。
これだよ。 pic.twitter.com/x4mCimVJXA
これの変形版として、「気持ちは分かるが違法だからダメ」というのもある。しかし、これも誤りであることは既に歴史が証明済みだ。
これが誤りであることは、既に歴史が証明しています。たとえばローザ・パークスのような人が、身をもって。白人用のバスの席に黒人が座ることは、当時は「違法」でした。
— #FREEUSHIKU (@freeushiku) 2018年11月21日
「訴えたいことがあっても違法なやり方ならば何も通じない。」 https://t.co/saH8KM3lMO
ほんこれ。
— 国立研究開発法人原田知世研究機構 (@norinori1968) 2018年5月23日
何度も書いてくどいが、奄美空港バニラエア事件も熊本市議子連れ議場入場事件も叩かれた。
でも、今は中三の英語の教科書に載っているローザ・パークスは、当時は「犯罪者」だった。
今の日本で同じことをすれば「厳罰を」の声が起こりかねず、社会進歩とは逆向きになる可能性。ああ日本。 https://t.co/TGMQZHbiH5
次は、「入管の職員さんたちは実はいい人」説。
入管の人と遊びに行ったり飲み会やってたから色々聞いたけど、真面目な常識人多数だし、女性多いし、訴える側の実態も良く調べた上で批判した方がいいですよ。 https://t.co/rTKZzwXBES
— めいろま (@May_Roma) 2018年11月21日
行政当局が組織的に行う行為の善悪と個々の担当者の人間性はほとんど関係がない。職員はみな真面目に、忠実に、与えられた「職務」をこなしているだけだ。要するに、入管で行われているのは、典型的な「凡庸な悪」なのである。
「真面目な常識人」とやらが、職務や善行として人権侵害をなんら疑問も持たずに行っているとすると、「真面目」や「常識」とやらの内容が疑われるはずだが。そして思うにあのルドルフヘスですら「真面目な常識人」だったのではなかったか。 pic.twitter.com/JOdO6LqSBV
— ますやま (@askrec) 2018年11月21日
東京入国管理局垢の固定ツイートの炎上を見て思い出したのは、”凡庸な悪”という言葉。彼・彼女らは”悪”を正しく認知できないのであり、ひいては自発的に善悪を区別し序列づける能力を欠くことまで意味しそうではあるが、しかし、この手の能力こそ民主主義の健全発展に不可欠であるように思えるのだが。
— Masahiro Kozuka (@masa_koz) 2018年11月21日
最後に、一見もっともらしいのが「人権侵害が起きるのは予算が足りないから」説。
人権侵害が起きてしまう根本原因を議論する声がないのは残念ですね。例えば人権意識高めるための訓練にも予算必要。労働負荷高いと収監者の扱いが荒くなる。老人ホームや刑務所、保育所と同じですよ。お金がなければ質は下がる。入管の場合はお金の出所が税金ですから納税者が納得するかどうかです。 https://t.co/5XGlFyW0Wj
— めいろま (@May_Roma) November 21, 2018
しかし、入管で虐待が起こる理由は、介護施設でそれが起きてしまうのとは違う。入管で行われている虐待は「起きてしまう」のではなく意図的に行われているのであり、それは入管という組織の目的自体が腐っているからだ。この二つを混同してはいけない。
この目的そのものが問題なのだから、予算を拡充して人権侵害がなくなるなどということは10000000%ありえない。したがって、「人権侵害が起きてしまう」というのもまちがい。「起きてしまう」んじゃなくて起きるのが必然なの。ぜんぜんなにもわかってないんだな。
— やねごん(オリンピック反対) (@yanegon) 2018年11月21日
では結論。落書きの件で入管を擁護する主張はすべて間違い。いずれも屁理屈でしかない。
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