読む・考える・書く

マスコミやネットにあふれる偏向情報に流されないためのオルタナティブな情報を届けます。

歴史認識

フィクションとして戦争を描くということ

フィクションであるにもかかわらず、「これこそが戦時下の庶民生活の真実」、みたいな受け取られかたをしている『この世界の片隅に』をきっかけに、フィクションとして戦争、とりわけ戦時下の生活を描くとはどういうことかを考えてみた。 この問題を考える上…

【補足編】軍艦スケッチ事件から見る『この世界の片隅に』のリアリティへの疑問

前回記事にいくつか気になるコメントを頂いているので、回答を兼ねて補足を書いておくことにする。 画像出典:https://twitter.com/guillotine_the/status/831748289712226304 まず、当時の呉は日本最大の軍港であり、海軍の勢力が強かったため、陸軍と海軍…

軍艦スケッチ事件から見る『この世界の片隅に』のリアリティへの疑問

遅ればせながら(私はいつも遅ればせなのだが)右から左までどこを向いても絶賛の嵐のアニメ映画『この世界の片隅に』を見た。 全体としての感想はだいたい以下に引用したツイートと同じ。一言で言えば「ロクなもんじゃない」ということ。 「この世界の片隅…

日本兵は赤ん坊を串刺しにしたか?

日中戦争やアジア太平洋戦争において、日本兵が何の罪もない赤ん坊を銃剣で串刺しにした、という話が、日本軍の残虐性を象徴するエピソードとして語られることがある。 これは本当のことなのだろうか? 試しに「日本兵 赤ん坊 銃剣」といったキーワードでウ…

NNNドキュメント「南京事件 兵士たちの遺言」に難癖をつけた産経の「歴史敗戦」と問題の写真の件

番組内容を否定する根拠を何も示せない産経 前回記事でも書いたとおり、大虐殺否定派にとっては痛撃となったNNNドキュメント「南京事件 兵士たちの遺言」に何とかしてケチをつけようと、産経がこれを「歴史戦」で取り上げている。 しかし、当然ながら番組の…

NNNドキュメント「南京事件 兵士たちの遺言」を検証すると称するウヨブログのレベルが低すぎる件

否定し難い虐殺の事実を突きつけたNNNドキュメント 「字体」で番組内容の否定を試みるウヨブログ 調べればすぐ見つかる反証 否定し難い虐殺の事実を突きつけたNNNドキュメント 2015年10月4日に放送されたNNNドキュメント「南京事件 兵士たちの遺言」。小野…

南京の日本軍は中国軍負傷兵を助けたか?

南京で日本軍が中国軍負傷兵を看護していたという嘘 南京での日本軍プロパガンダ写真の嘘、2枚目はこちら。 @Jnkmrgenkai 捏造の南京大虐殺7南京占領の7日後。中国負傷兵を看護する日本の衛生兵。林特派員撮影 朝日版支那事変画報 pic.twitter.com/ExEwjT…

虐殺から朝鮮人を守った市井の人々

大川常吉署長の行為は確かに立派だが美談化は危険 暴徒から朝鮮人を守った市井の人々 守ってもらえなかった朝鮮人はどうなったのか 大川常吉署長の行為は確かに立派だが美談化は危険 TBS「報道特集」で取り上げられたこともあり、大川常吉氏(関東大震災当時…

極右トンデモ本を根拠に朝鮮人虐殺を否定する古賀都議と小池都知事

小池百合子都知事が関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文送付を断った背景として、今年3月の都議会での、自民党の古賀俊昭都議との質疑があったのではないかと言われている。[1] 都議会議事録[2]によると、問題の質疑は以下のようなものだった。 ○九十八…

朝鮮人に間違えられて殺されかけた千田是也氏の証言

94年前の今日、1923年9月2日は、関東大震災後の朝鮮人虐殺がいよいよ本格化した忌むべき日でもある。 この日、朝鮮人と間違えられて危うく殺されそうになった日本人の一人に、俳優の千田是也氏がいる。氏の証言映像が昨年放映されたETV特集「関東大震災と…

小池百合子が朝鮮人虐殺否定の突破口を開いた

先日の小池都知事に続いて、朝鮮人犠牲者追悼式の行われる都立横網町公園がある墨田区までが、今年は追悼文の送付を行わないことを決めた。 NHKニュース(8/30): 東京 墨田区も市民団体開催の関東大震災追悼文見送り 市民団体が開いている関東大震災の混乱…

朝鮮人虐殺の加害性を否認する小池都知事

小池百合子東京都知事が、これまで毎年出してきた関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文送付を断った。[1] 東京都の小池百合子知事が、都立横網町(よこあみちょう)公園(墨田区)で九月一日に営まれる関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文送付を断っ…

南京のプロパガンダ写真とその裏の真実

前回記事で取り上げた、学び舎の教科書を採用した中学校への集団攻撃では、抗議はがきの大部分は「中国での旧日本軍進駐を人々が歓迎する場面とみられる写真を載せた絵はがきに抗議文をあしらった同一のスタイルだった」という[1]。 現物を見ていないので、…

中国人は日本軍を歓迎した? そりゃするだろう。逆らえば命がないんだから。

【卑劣】学び舎教科書採択校に右派が集団攻撃 侵略軍を現地住民が「歓迎」するのは当然の生存戦略 しかし、相手が悪ければいくら「歓迎」しても無駄 【卑劣】学び舎教科書採択校に右派が集団攻撃 難関校として有名な私立灘中(神戸市)をはじめ、学び舎の歴…

山本寛君は夏休みの宿題にこれらの本を読んで感想文を提出するように

中国の日本アニメファンの気持を逆撫でした山本監督 アニメ監督の山本寛氏が、日本は戦争でアジア諸国にいいことをしてやった、的なことを書いて炎上している。それも、中国でのイベント直前にやらかして、結局訪中中止という始末。 山本寛監督炎上経緯15日…

盧溝橋事件 -- 愚かな軍人たちの野望が地獄の釜の蓋を開けた

今日、7月7日は、日本では七夕くらいしか意識されていないが、中国では、日中全面戦争の発端となった「七七事変」の日としてはっきりと記憶されている。 東京新聞(7/5): 日中戦争の発端 盧溝橋事件80年解釈には溝あるが… 「友好へ歴史忘れないで」 北京…

中曽根が設営した慰安所で性暴力を受けた被害者の証言

中曽根「大勲位」元首相の慰安所関与を取り上げた前回記事に、こんなコメントがついた。 慰安所というのは売春のための施設でしょうか?そういうもと決めつけて資料を読んでいませんか?慰安というのは日本語で何を意味していますか?例えば女性にお酌をして…

「大勲位」元首相に中曽根康弘主計中尉の慰安所設営を思い出させてあげよう

「大勲位」中曽根康弘が今月27日に99歳になるとかで、これを祝う会が開かれたそうだ。 27日に99歳を迎える中曽根康弘の白寿を祝う会が開かれ、安倍晋三ら約230人が集まった。 読売新聞の渡辺恒雄・グループ本社主筆は、改憲をめぐり「いよいよ安倍内…

捕虜の取り扱い方さえ教えられなかった日本兵

現地民に憎まれ米軍に救われた日本軍捕虜たち 大阪毎日新聞や東京日日新聞に勤めたジャーナリストで、敗戦時フィリピンで日本軍部隊とともに米軍に投降した石川欣一氏の『比島投降記』[1]が、青空文庫で読めるようになった。 これを読むと、フィリピンで日本…

「慰安婦」強制連行についての貴重な加害証言

神奈川新聞のサイトに、日本軍性奴隷(いわゆる「従軍慰安婦」)の強制連行に関する貴重な加害証言[1]が掲載されていたのでメモ。 証言者は92歳になる元牧師の男性で、衛生兵として中国に出征した際の体験を語っている。 中国山西省盂県に出征したのは1944年…

小林よしのり徹底批判【目次】

大東亜戦争とか言ってる時点で既にダメ 偽りの「アジア解放」「大東亜共栄圏」 ガンディーには見抜かれていた 戦争が政策なら植民地主義だって政策 続・ガンディーには見抜かれていた ワラン・ヒヤ(恥知らず) 噂を根拠に中国軍を悪魔化 家族や故郷を守るた…

南京大虐殺紀念館に行ってきたよ

念願だった紀念館をようやく訪問 被害者たちの彫像 館内展示 本多勝一氏のカメラと取材関係資料 江東門万人坑 「30万人」は象徴的数字 和平(平和) 念願だった紀念館をようやく訪問 3月19日、前から行きたいと思いつつなかなか機会のなかった南京大虐殺紀…

自分はやましいことはしてないから共謀罪なんて関係ない…と思っている人たちへ

■ 共謀罪への関心が薄い理由 森友学園問題の騒動にまぎれて、超弩級の悪法「共謀罪」法案が国会に上程されようとしている。 しかし一般の関心は薄い。 権力監視の責務を放棄したマスコミの怠慢ももちろん原因のひとつだが、共謀罪の危険性に関心が集まらない…

ヘイト番組『ニュース女子』でも使われた「取材もどき」は史実否定派の伝統芸

放送法違反のヘイト番組「ニュース女子」 井上和彦による沖縄現地「取材もどき」 南京大虐殺否定本の「取材もどき」 放送法違反のヘイト番組「ニュース女子」 年明け早々の1月2日に流された、TOKYO MXテレビ『ニュース女子』はひどかった。 番組冒頭から沖…

民団による「少女像」撤去要請を報じたSankeiBizさんのグッジョブw

韓国・釜山の日本総領事館前に設置された「少女像」(日本軍性奴隷制被害者を象徴する像)の撤去を民団(在日本大韓民国民団)が求めたという件。 ほとんどのマスコミが団長発言から都合の良い部分だけを切り取って報じる中で、なぜか産経系列のSankeiBizが…

小林よしのり徹底批判(13)この少年たちをも殺せというのか?

小林は、そもそも事実でさえなかった呉淞桟橋襲撃事件を使って「便衣兵の脅威」を煽ったあと、こう力説する[1]。 よく「女子供の死体まであった」とかいう証言があるが女子供が便衣兵なら殺されたって仕方がない 田中正明著『南京事件の総括』にも、こうある…

小林よしのり徹底批判(11)卑怯な便衣兵ならここにいる

■ 侵略軍に抵抗するゲリラは卑怯者ではない 前回記事でも述べたように、小林は、とにかくゲリラを卑怯者扱いしようとする[1]。 この戦いは 近代戦の歴史の中でも 日本が初めて経験した 便衣兵との戦いであった 便衣兵――つまりゲリラである 軍服を着ていない …

小林よしのり徹底批判(10)南京には便衣兵などいなかった

南京に便衣兵がいないと都合が悪い右派たち 小林が言う「便衣兵」は単なる敗残兵 【卑劣】助命すると言って投降させた捕虜を殺した日本軍 南京に便衣兵がいないと都合が悪い右派たち 「便衣(biànyī)」とは、中国語で軍服ではない民間人の服装を指す。つまり…

小林よしのり徹底批判(9)浅薄な聞き取り

『戦争論』の中に一か所だけ、小林自身が戦争体験者から聞き取ったという話を書いた部分がある[1]。 わしの親戚には 支那大陸に行ってきて 楽しそうに こう語る人がいる 「戦争はまるで 海外旅行に行ってきたごたった♪」 (略) 支那を列車で輸送され 行軍し…

補給無視が略奪を生み、略奪が強姦・虐殺を生んだ

前回記事でも書いたように、旧日本軍は大戦末期どころか日中戦争初期の段階でもまともな補給を行わず、飢えた兵たちが住民の食糧を盗んで腹を満たすしかない状態を放置していた。三好氏の部隊は10月中旬には予備隊となって後方に下げられたので厳しい飢えは…